初期症状としては、食べ物が喉に詰まる感覚や喉の違和感、飲食物が通る時にしみる感じがするといったものがあります。これらは必ずしも早期の段階から表れるとは限りませんが、比較的早くから見られることが少なくありません。
食道がんが進行すると、食べ物の通り道が狭まりますので、固形物がつかえたり、痛みを感じるといった症状が現れるようになります。やがて、柔らかいものや流動物であってもスムーズに流れなくなり、最終的には水ですら通らなくなります。
飲食の際に感じる症状以外にも、声のかすれや咳、胸やけ、胸痛、背部痛、体重減少といったものもあります。
食道がんは治せるか
癌の告知を受けてしまった場合には、ショックを受けることは共通であるにしても、その認識にはだいぶ差があるようです。初期症状なら治ると理解している方もいれば、もはや助かる見込みはないと絶望する方もいます。
実際のところ、食道がんは初期症状のうちなら治療によって克服できる可能性は決して低くありません。しかしながら、末期になってしまった場合をはじめとして、進行してしまうと状況は一変します。いくら手を尽くしたとしても、治ることは少なくなります。
そのため、発見のタイミングが早いかどうかによって話は大きく変わっていきます。症状の現れ方には個人差があり、初期に異常を自覚することもあれば、進行するまで気付かないこともあります。また、おかしいと感じても、食道がんが原因になっているとは予想しないことも多いでしょう。
理想としては、無症状のうちに人間ドックや健康診断で発見し、早期に治療を開始することが望ましいでしょう。しかし、現実にはある程度進行してから見つかることも少なくありませんので、状況に合わせた対応をすることになります。
食道がんの生存率とステージ
症状の進行度によって完治できるかどうかが変わるといっても、それでは明確な目安とは言えません。そこで参考にしてほしい指標として、生存率とステージ(病期)という概念があります。
まず、生存率とは一定期間が経過した後に生き残っていた患者さんの割合を示したもので、治療後の経過を示す指標となっています。ステージは症状の進行度を表しており、もっとも初期の0期から進行した4期までに分けられています。
どのステージに該当するかを知ることによって、まずは症状がどの程度進行しているかを知ることができます。そのステージに対応する生存率を知ることによって、今後がどのような見込みになるかを知ることができるのです。
食道がんの5年生存率の目安としては、1期で80%、2期で40%、3期で25%、4期で10%以下となります。もっとも、数字は一般的な参考程度に考えてください。病院によっても差があります。
これを見ても、症状が進行することによって、食道がんの生存率が明らかに低下していくことを理解していただけると思います。早期発見や早期治療が重要だと言われる理由が、数字によって客観的に明らかにされていると言えるでしょう。
食道がんの治療方法
症状の進行の程度や全身状態などを加味して治療法は選択する必要があります。代表的な選択肢として、内視鏡治療、手術、放射線、抗がん剤による化学療法があります。これらは単独で用いられるばかりではなく、集学的治療といって、組み合わせて使われることもあります。
ここでは、簡単に概要だけ見ておきましょう。内視鏡治療は、その名の通り内視鏡を使用するのですが、早期の食道がんが対象となり、体への負担が小さい方法です。
手術や病巣や転移が疑われるリンパ節を切除して摘出するもので、開胸を伴います。合併症の危険もありますし、術後には食事を徐々に戻していく必要があります。また、声がかすれることもあります。効果は高いものの、リスクについても十分に理解しておく必要があります。
放射線治療は、体外から放射線を食道がんの病巣に照射するものです。また、時には内側から当てる場合もあります。健康な細胞にも照射されてしまうことによって副作用もでますが、治療が終われば多くは回復していきます。
化学療法は抗がん剤という薬を使用する治療法で、シスプラチンやフルオロウラシルという薬剤が多く用いられています。副作用が恐れられることが多い抗がん剤ですが、薬剤によって副作用の種類や程度も変わってきますし、以前に比べれば負担を和らげることができるようになっています。副作用としては、吐き気や嘔吐、食欲不振、白血球・血小板の減少、倦怠感といったものが代表的です。
これらの治療法を組み合わせていくことになるわけですが、転移なども含めて状況を判断することになります。それぞれのメリットやデメリット、その後の見通しについて主治医と話し合うようにしてください。
食道がんの原因
確立されたリスク要因として、飲酒と喫煙があります。これらは相乗効果で悪い方向に作用するため、アルコールを習慣的に多くのみ、タバコを吸う習慣を持っている人は要注意です。
このほかにも、熱い飲み物や食べ物も食道がんの原因になっていることを示唆する研究結果が多くありますので、熱い飲食物を好む方は気をつけたほうがよいでしょう。少し冷ましてから口にするだけで、熱いものによるリスクはコントロールすることができます。
喉頭癌や咽頭癌になった人は、食道がんにもなりやすいと考えられていますので、既往歴がある方は注意してください。
直接的な原因ではありませんが、男性は女性の5倍ほどの死亡率となっています。また、年齢では50歳近くになってから罹患率が増加を始め、60歳代がピークです。国際的に見ると、日本人は東アジアの中でも罹患率が高い傾向にあります。1年間では9000人ほどがかかる病気であり、発生頻度では胃癌の1割ほどとなっています。
2つの種類
悪性になる細胞の種類によって、2つに分けられています。
一つ目は扁平上皮細胞がんです。食道の内側の薄く平らな細胞が悪性になるもので、食道の中でも上部や中央部の発生頻度が高くなっています。全体の9割以上を占めています。
二つ目は腺がんです。粘液などの体液を産生するもので、胃の付近に当たる食道の下部に発生することが多くなっています。食事や生活習慣の欧米化に伴い、今後の増加が懸念されています。
上記の2つが主な種類ですが、これ以外にも希少なものとして、癌肉腫、悪性黒色腫、未分化細胞癌、消化管間質腫瘍といったものも存在します。
食道がんの転移
症状が進行すると、深く食い込み、さらに広がっていきますが、癌が発生した場所で大きくなっていくだけではありません。リンパ管や血管を通して、他の場所に流れ着いて増殖することがあります。これが転移と呼ばれる現象です。リンパ液に流されてリンパ節転移をしたり、血液の流れに乗って肝臓や肺、骨をはじめとした遠隔臓器に転移することもあります。
食道がんが遠くのリンパ節や他の臓器に転移すると、治療は難しくなります。また、治ったように見えても再発してしまうことが多くなります。
食道とは
口(咽頭)から胃の噴門までの長い消化管が食道です。飲食物の通り道となっています。およそ25cmの長さを持ち、頸部、胸部、腹部の3つに区分されています。すぐ近くには空気の通り道である気道があります。
内側から粘膜層、筋層、外膜の3層から構成されています。重力の力で口から飲み込んだ食べ物が胃に落ちていくだけではなく、蠕動(ぜんどう)運動によって送り出されています。実際に、たとえば仰向けになった状態で物を食べることができますし、逆立ちをしても逆流するわけではありません。なお、この部分の粘膜の感覚は敏感ではなく、熱さについてもあまり感じません。
生きることをあきらめないでください。
食道がんを治すのにこんな方法が・・・